• HOME
  • >
  • 情報室
  • >
  • 制度いじりの段階越えた超少子化

情報室

制度いじりの段階越えた超少子化

ジャーナリスト 安地善太

純潔教育推進でパラダイムシフトを

 民主党政権の少子化対策である「子ども子育て新システム」の概要が1月末、明らかにされたが、母親による子育てに代わって「子育ての社会化」を強く推進する内容であり、育児を合理的に進めることで子供を産み増やせるという、余りに単純な人間観が背景にあることが浮き彫りになった。

 要するに、子供が増えるのなら結婚制度が崩れても構わないという発想だ。実際、婚外子が約5割を占めているデンマーク、スウェーデンといった北欧諸国では、結婚のみならず家族という概念が崩壊しているとされる。

 これから見えてくるのは、結婚・家族制度が崩れているなか、子供は一様に「総合子ども園」と称するところに預けられ、国や地方自治体が子育てを指導し、母親は目一杯、働くという社会だ。

 だが、この「子育ての社会化」を進める一方、婚前交渉を認め、それによる婚外子も何ら区別しない社会は、すでにロシア革命直後のソ連で試みられている。

 その結果、どういう社会になったのか。八木秀次・高崎経済大学教授は、「家庭から放り出された子供たちが、全体として国に害をもたらし、このまま続けると国の屋台骨が崩れるということでスターリンが軌道修正した」(昨年11月、世田谷区での講演)と指摘する。「新システムというが、古典的社会主義の考え方だ。これが民主主義国家の日本で進められている」(同)ということになる。

 この番組には、小泉純一郎政権で、少子化担当相を務めた猪口邦子氏も出演し、今でも保育園と幼稚園は相互に乗り入れてしており、預かり保育をする幼稚園づくりはよいが組織いじりする必要はない、と指摘。

 そのうえで、「結婚」段階では妊婦検診費用の無償化・不妊治療費の助成、「出産」で児童手当の乳幼児加算の増額、「育児」では幼児教育の無償化、保育サービスの大幅拡充など、年齢進行順のプランを示していた。

 これに対して、民主党の「子ども子育て新システム」は、生まれた子供をどう集団的に対処するかに重きがおかれており、子供を持とうとする家族や年齢進行順での子供への細かい配慮が不足している点は否めない。この「新システム」導入に消費税増税による7000億円が当てられる。

 小宮山厚労相は、「家族の価値がどうのという人たちがいて、婚外子の法律上の差別が無くせない」という趣旨のことを述べ、家族軽視の考えを示した。さらに、「婚外子への民法上の差別を無くすようにと国連から言われている」と発言。

グラフ

 90年代末から2000年代はじめにかけ、「男らしさ・女らしさ」を蔑視するジェンダー・フリー思想が行政に巧みに入り込み日本全国に浸透した。その時、金科玉条のように掲げられたのが国連女子差別撤廃条約だ。小宮山氏は1999年、問題の多い男女共同参画社会基本法をジェンダー・フリー論者の大沢真理・東大教授と連携して制定にこぎつけた立役者である。

 従って、同発言からは、今回の「新システム」を浸透させる上でも、そうした手法を考えていることがうかがわれる。政府のお墨付きを受け「新システム」を推進する学者・文化人は、これに伴い「子ども指針」を制定する準備をしている。その材料の一つが、国連児童権利条約だ。

 批准国である日本は、「国連子どもの権利委員会」の審査を定期的に受ける立場にある。すでに同委員会は、わが国政府に対し「条約が社会に浸透していない」とし、「婚外子に対する相続など法律上の差別的な取り扱い…を正すように」との勧告を行っている。

 また、「国連子ども権利委員会」による介入を持ち出すまでもなく、これまでの歴史的経緯から「子ども指針」作成という作業に懸念を抱く声が出ている。幼稚園(文部科学省所管)の幼稚園教諭と保育園(厚生労働省)の保育士、それに保護者の役割はおのずから異なるものだ。

 それを一つの指針でまとめようとすれば、役割が不明確なものとなり、家庭の父母を「先生化」することに繋がる。一方で、保育所・幼稚園が専門職として地域・家庭への支援で水準を保ってきた幼児教育の質は低下していこう。戦後、積み上げてきた保育所の保育指針を台無しにすることになりかねない、のである。

 しかし、こうした制度いじりを行ったとしても、平均寿命はどんどん上がり続ける一方で、よほどのパラダイムシフト(価値観の劇的変化)が無い限り、未婚率は上昇し、子供はさらに減少する。これでは、社会保障制度のみならず、日本自体が破綻することは目に見えている。

 やはり、結婚まで純潔を保ち結婚後も不倫をしない、いわゆる自己抑制教育(純潔教育)を本格的に導入し、それが効果を上げられるようあらゆる教材、方法論を開拓していく必要がある。学校での「結婚教育」の推進、「見合い結婚」制度の再評価と活性化も促すべきだ。

 そうすることで、結婚、家族制度が持続的発展を遂げ、出生率が上昇する。その結果、年金制度を再建でき、家族の絆が堅固となり、家庭で高齢者への介護という形もより可能になる、といえる。

pdficonPDFファイル(257.6KB)