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医師が子宮頸がんワクチン効果に疑問 

ジャーナリスト 安地善太

 宮城県大崎市の内科医、佐藤荘太郎氏(61)は、2月上旬、市民が集まり市政を語り合う場「菜の花の広場」の学習会で、「子宮頸がんの予防ワクチンに効き目はない。効かないものを接種したところで無駄である」とする内容を公に発表。
 これを『週刊女性』(3月8日号)が「子宮頸がんワクチンは無駄!」の見出しで取り上げたため、小宮山洋子・厚生労働副大臣が、慌ててその内容を否定するなど、同医師の発表が波紋を投げかけている。

 佐藤医師は、『全く必要のない、全く効かない「子宮頸がん予防ワクチン」接種はすぐに中止を!』という論文で、さまざまな医学的見地から、サーバリックスの効果を検証。たとえば、サーバリックスは、HPVの予防にはなっているが、子宮頸がんの予防効果があるかは疑問と述べる。
 HPVが子宮頸がんの原因であることから、がんの原因となるHPVに効果があるなら、がん予防にもなるとも言えそうだが、HPVが原因で子宮頸がんを発症するのは0.15%に過ぎない。
 このため、このウイルスだけで子宮頸がんを発症するとは言いがたく、発がんについては、喫煙など他の因子との関わりもある。HPVを予防できても子宮頸がんを減らしたという実績はない、と佐藤医師が指摘するゆえんだ。
 また、臨床実験をしたところ、すでにHPVに感染している女性は、サーバリックスを接種してもそれを除去する効果はないことが判明。そこで、性体験をしている可能性が少ない11〜14歳くらいの女児にターゲットを移したと佐藤医師はみる。
 ところが、佐藤医師によると、フィンランドの76組の親子間で行われた調査で、がんの原因となるHPVが新生児の口腔粘膜や外陰部から、それぞれ15%と9%の割合で検出され、うち6人の新生児は両親ともHPVを保有していないケースもあった。
 このことから、佐藤医師は、HPVは、新生児より感染と消失を繰り返すありふれたウイルスで、性行為をHPVの感染経路として特別視するのは間違いであると指摘。したがって、11〜14歳の女児にHPVを防ぐワクチンを打って持続感染を防いでも意味がないとする。
 そして、佐藤医師がもっとも強調するのは、子宮頸がんの罹患率が30代後半でピークを示しており、罹患する年齢層が以前より若くなっている、ということへの疑問である。その折れ線グラフは、グラクソスミスクライン社のHPにも出ており、最近の傾向を示すためよく言及される。
 だが、佐藤医師は、罹患率はその年齢層でピークになっているが、あくまで死亡率は高齢者で増えており、他のがんと同様であると力説する。確かに、罹患率とともに記入されている死亡率を示すグラフは、基本的に高齢になるほど上昇している(図参照)。
グラフ  佐藤医師は論文で「罹患率(上の線)は組織検査で、前がん病変を疑われたもの。20代から急に増えるのは月経不順、妊娠、不整出血等で婦人科の診察を受ける機会が急に増え、『ついでに細胞診を行っておきます』ということが多いためである。異型性が多く指摘されているが死亡にはつながらない。これを脅しの材料として使っている。どのように集計したのだろうか?」と疑問視している。

 確かに、この図は子宮頸がんワクチン推進派がよく利用する。
 「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」実行委員長を務める今野良・自治医科大学付属さいたま医療センター婦人科科長は、「日本の子宮頸がん発症の年齢層のピークは、1978年には60〜70歳くらいだった。ところが、88年には40歳前後に小さなピークが現れるようになり、98年には30歳くらいがピークとなっている」と年齢層が若返っていることを強調。
 そのうえで、「若い人の子宮頸がんが多くなっているというと、性の乱れでHPV感染が広がったためととらえられがちですが、これは誤解です」とし、「ただ、性行為を開始する年齢が早まったことから、HPV感染も早くなり、その結果、子宮頸がんを発症する人の年齢も若くなっているのではないかと考えられます」と述べる。

 子宮頸がんワクチン推進派は、女児の早いセックスデビューを是認し、それとの関係で子宮頸がん罹患率のピークが若くなっているのも承知している。佐藤医師が言うように、このグラフは、女児に性行為と子宮頸がんワクチン発症との因果関係を自覚させ、子宮頸がんワクチンを打つよう説得するために使われている嫌いがある。
 さらに同医師は、サーバリックスの審査が余りに簡単に行われている点を問題にしている。審査の経緯は平成21年8月31日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会にネット上で見ることができる。
 同部会でもっぱら説明に立った医薬品機構は「本邦で既承認の類薬はなく、子宮頸癌予防対策の一つとしてHPVワクチンの臨床使用を求める医療上の要望及び社会的関心が高まっております」と説明。佐藤医師は、議論というより、機構側の説明を聞くのが大半だと述べている。審議委員は、ほぼ全員が著名な大学病院の医師ないしは大学教授だ。
 また、同部会では「厚生労働省の指導により、国内臨床試験の終了を待たずに平成19年9月26日に本剤の製造販売承認申請がなされております」とあり、さらに2つの国内臨床試験報告書の提出日が3箇所で伏せられている。これに佐藤医師は疑問を呈している。
 議論では、サーバリックスが、「昆虫細胞をたん白質発現細胞として用いた本邦初の遺伝子組換え製剤であること等を踏まえますと、特に慎重に安全性情報を収集し、適切に情報提供していくことが重要」とあり、認可後も慎重な対応が必要であることが触れられている。ワクチンの有効期間についても、特には言及されていない。
 こうした様々な疑問を地元の医師が呈したのを受け、大崎市の「子宮頸がん予防ワクチン接種学習会」は学習担当責任者、小野寺京子氏の代表名で、三神祐司・大崎市議会議長宛に「子宮頸がん予防ワクチン」接種事業を中止する要望書を提出している。佐藤医師は、子宮頸がんを防ぐ有力な方法は、純潔教育だという点には触れていないが、改めてその重要性が明確になってきていると言えよう。

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