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コンドーム配布プログラムの悲惨な結果

ジョン・D・ハーティガン
Family Research Council(家庭調査協議会)
「In Focus」(1997年11月発表)より

*ジョン・D・ハーティガン氏は、彼の半分の時間を公衆衛生および学校教育などの公共法律業務にささげる法人弁護士である。
801 G Street NW. Washington, DC 20001
Phone(202)393-2100・Order Line(800)225-4008 FAX(202)393-2134
externaliconhttp://www.frc.org/index.cfm

*この論文は、Pure Love Alliance-Japan(PLA-Japan)が翻訳しました。訳文文責はPLA-Japanにあります。

 10代の若者へのコンドーム配布を正当化するために打ち出された一般的な考え方は、「コンドーム配布によって、性交渉を持つ若者たちを妊娠やHIV感染から守っている」というものである。しかしながら、多くの研究によって、この考え方は実際にはまったく機能しないことが分かっている。現実の生活では、10代の若者にコンドームを配布すれば大きな不幸を招くことになるのだ。

 その主な理由は、10代の若者が失敗を避けるために厳しい注意を払ってコンドームを使用するには、余りにも衝動的かつ無節操すぎるからである。アメリカで行われた1988年の調査では、受胎調節のためにコンドームを使用した結婚経験を持たない低所得層の10代の女性のうち、27%以上がコンドームの使用から1年以内に妊娠していたことが明らかになった。※1

 さらに悪いことに、10代の若者へのコンドームの供給は不可避的に彼らの性行動の著しい増加につながっている。例えば、サンフランシスコのバルボア・ハイスクールが近くの薬局でコンドームと交換できるクーポン券を生徒に与え始めたところ、性交渉をもつ女子生徒の割合がたった2年間で4分の1もはね上がった 。※2同様に、スイスで思春期の若者を対象に行われた3年間にわたるコンドーム奨励実験では、性交渉をもつ17歳未満の少女の割合が36%から57%と、3分の2近くも増加した。※3

 これらの欠点をみれば、学校主催および学校が関連した「コンドーム配布プログラム」は決して成功しないのは当然である。妊娠を減らすどころか、このようなプログラムは常に逆の効果をもたらしているのだ。これを例証するために、アメリカの主要都市で行われた3つの極めて意義深い研究を考慮してもらいたい。

・サンフランシスコ --- 生徒に適切なコンドームの使用方法を“図解した”にもかかわらず※4、バルボア・ハイスクールのコンドーム利用プログラムは途方もない失敗に終わった。性経験を持つ生徒の中でコンドームを使用する比率がほぼ2倍化した一方で※5、当初の期待に反して、この学校全体の妊娠率は4分の1も増加した。※6妊娠率の増加により、生徒のHIV感染やその他の性感染症にかかる割合も同様に増加したと考えられる。

・セントポールおよびダラス --- クーポン券ではなくコンドームを配布した2つの学校のプログラムはサンフランシスコにも劣る結果となった。特に、10代の出産を減少させると思われていたセントポールのプログラムは、実際には3分の1の増加(1,0000人あたり22人から同29人へ)をもたらした。※7コンドームを配布したダラス都市部の学校では、全体の妊娠率が11.2%となり、このようなプログラムを実施しなかったダラス内の同じような学校の妊娠率7.6%よりも4.7%高い結果となった。※8

 さらに、コンドームをいかに間違いなく使用するかについて専門的なカウンセリングが施されれば、10代の若者へのコンドーム配布は成功すると信じるのも愚かなことである。以下の要約が示すように、たとえカウンセリングを受ける人物が妊娠やHIV感染を強く避けようと意識している成人女性であったとしても、集中的なカウンセリングを通じて有効なコンドームの利用を促そうとする努力は一様に失敗していることが分かる。

カウンセリングを受けた女性 結果
一定の相手と性交渉をもつ、18歳から65歳までの黒人およびラテンアメリカ系米国人を中心とする女性68人 コンドームの7.9%が性交渉中にはずれるか、性交渉中や離脱時に破損した。残りのコンドームのうち、7.2%が離脱時にはずれた。※9
HIVに感染している性交渉の相手をもつ、未感染のフロリダの成人女性18人 3人の女性(16%)が18ヶ月以内にHIVに感染した。※10
HIVに感染している性交渉の相手をもつ、未感染のフランス成人女性31人 17人の女性がコンドームの使用には「固執せず」、3人が感染した。※11
HIVに感染している性交渉の相手をもつ、未感染のヨーロッパの成人女性404人 49人の女性のみが毎回またはほぼ毎回コンドームを使用し、この49人のうち6人が感染した。※12
HIVに感染している性交渉の相手をもつ、未感染のヨーロッパの成人女性163人 74人の女性が一貫してコンドームを使用することに失敗し、この74人のうち8人が感染した。※13

 これらの長い失敗の記録をみて、教育者や健康行政者がコンドームに関する彼らの盲目的な信念を捨て去り、コンドームの若者への供給が10代の妊娠やHIV感染を減少させないという事実を直視すべき時が来ている。彼らの思惑とは反対に、すべての有効な証拠はコンドームの配布が10代の若者の性行動を悪化させる事実を示している。若者を10代の妊娠や性感染症、HIVなどの不幸から守ろうとするなら、明らかに別の取り組み方が必要なのである。

注記

  1. Elise F. Jones and Jacqueline D. Forrest, "Contraceptive Failure Rates Based on the 1988 NSFG," Family Planning Perspectives, January/February 1992, pages 12-19. See Table 2, page 15.
  2. Douglas Kirby その他。 「An Assessment of Six School-Based Clinics: Services, Impact and Potential」(1989年Center for Population Options刊)32・65ページおよび、「Six School-Based Clinics: Their Reproductive Health Services and Impact on Sexual Behavior」(Family Planning Perspectives 1991年1・2月号6〜16ページ、11〜12ページ。Kirbyによるこれらの研究は以降、便宜上、初期のものを「1989レポート」、より最近のものを「1991レポート」として引用する。
  3. Dominique Hausser and P.A. Michaud, "Does a Condom-Promoting Strategy (the Swiss STOP-AIDS Campaign) Modify Sexual Behavior Among Adolescents?" Pediatrics, April 1994, Table 3, p. 582.
  4. 1989 Report, p. 65.
  5. 1989 Report, p. 64.
  6. コンドーム用クーポン券の実験開始前、この学校の女子生徒の37%が性体験を持ち、年間妊娠率は5.9%であった(すなわち、37%×16%)。2年後の実験終了時には、女子生徒の46%が性体験を持ち、これらの女子生徒における年間妊娠率は16%であり、よって学校全体の妊娠率は1年につき7.4%となる(すなわち、46%×16%、または実験開始時と比較して4分の1の上昇)。1991レポートの11ページ表3および15ページの表8を参照。
  7. Douglas Kirby, et al., "The Effects of School-Based Health Clinics in St. Paul on School-Wide Birthrates," Family Planning Perspectives, January/February 1993, pp. 12-16. See Table 2, p. 15.
  8. 2年にわたる実験の終了時、コンドームを配布された学校の女子生徒のうち80%が性体験を持ち、年間妊娠率は11.2%であった(すなわち、80%×14%)。それに対し、コンドームを配布されなかった学校の女子生徒のうち76%のみが過去に性体験を持ち、これらの女子生徒における年間妊娠率は10%に過ぎず、よってこの学校全体の妊娠率は1年につき7.6%となる(すなわち、76%×10%)。このように、コンドームを配布した学校の全体妊娠率は、コンドームを配布しなかった他の同様な姉妹校の全体妊娠率より1.47倍も高かったのである。1991レポートの11ページ表3および15ページの表8を参照。
  9. James Trussell, et al., "Condom Slippage and Breakage Rates," Family Planning Perspectives, January/February 1992, pp. 20-23. See p. 20 and Table 1, p. 22.
  10. Margaret Fischl, et al., "Heterosexual Transmission of Human Immunodeficiency Virus (HIV): Relationship of Sexual Practices to Seroconversion," Third International Conference on AIDS, June 1987, Abstracts Volume, p. 178.
  11. Y. Laurian, et al., "HIV Infection in Sexual Partners of HIV-Seropositive Patients With Hemophilia," New England Journal of Medicine, January 19, 1989, p. 183.
  12. European Study Group on Heterosexual Transmission of HIV, "Comparison of female to male and male to female transmission of HIV in stable couples," British Medical Journal, March 28, 1992, pp. 809-813. See Table 1, p. 810.
  13. Isabelle de Vicenzi, et al., "A Longitudinal Study of Human Immunodeficiency Virus Transmission by Heterosexual Partnres," New England Journal of Medicine, August 11, 1994, pp. 341-346. See p. 343.